【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
繁華街の雑居ビルに入ったダイニングバー。
おしゃれだけど入りやすい雰囲気の店に、思わず専務の顔を見ると、「ん?」と首を傾げられた。
「こういうお店にも入られるんだなと思って」
普段仕事で使うお店は、高級店ばかりだ。てっきり普段からそういうお店に行っているんだと思ってた。
「むしろこういう気取らない店の方が好きだよ。大学時代はチェーン店の居酒屋ばっかり行ってたし」
「そうなんですか」
「デートの時は、ちゃんともっと気取った場所を探すけどね」
そんな軽口を聞き流し、店内に入る。
案内された席にはひとりの男の人が先に座っていて、専務の姿を見つけると気安い仕草で手を上げる。
その反応だけで、随分仲がいいことが伝わってきた。
「お疲れー」
そう言って先に飲み始めていた彼は、持っていたグラスを持ち上げ笑ってみせる。
「詩乃ちゃん、これ新見さん。綾崎フーズにいた時の先輩」
「これとはなんだよ、これとはー」
専務の雑な紹介に、新見さんは口では文句をいいつつも、白い歯を見せて楽しげに笑う。