【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
短い髪に、逞しい体つき。
きっと学生時代はスポーツに打ち込んでいたんだろうなと思わせる、いわゆる体育会系の男の人。
「はじめまして。冬木と申します」
そう言って名刺を差し出すと、専務に「仕事じゃないんだから」と笑われた。
「詩乃ちゃんっていうんだ。可愛い名前だね」
……さすが、専務と仲のいい先輩。
初対面の相手を、普通に下の名前で呼ぶ距離の近さに戸惑いながらかぶりを振る。
「詩乃ちゃんをデートに誘いたいときは、この番号にかければいいの?」
カラッとした笑顔でとんでもないことを言う新見さんに、驚いて固まる。
そんな私の横で専務がため息をついた。
「詩乃ちゃん、あとで新見さんの番号教えるから、着信拒否しておいて」
「着信拒否って、ひでぇなおい!」
そんな軽口に笑いながら、専務が席に座る。
「俺はビールにしようかな。詩乃ちゃんはなににする?」
「あ、私は……」
お邪魔になるので帰ります、と言いかけた私に、新見さんがメニューを開きながら話しかけてくる。