【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「でも、こいつのお陰で、綾崎フーズの社員全員の気持ちが変わったんだよね。それまでは大企業の子会社で潰れる心配もなくて、定番商品だけ作っていればいいって意識だったのに、空気が一変してみんながやりたいことをどんどん言える職場に変わった」
新見さんはそう言って、専務ではなく私の方を見た。
「きっとこいつは役員になった今でも、色々新しいことをやりたがって周りに迷惑かけてんだろうけど、よろしく頼むね」
「いえ、迷惑なんて……!」
優しい口調でそう言って頭を下げた新見さんに、私は慌てて首を横に振る。
「迷惑なんてかけてないよって言い返したいけど、実際迷惑かけてるから悔しいな」
苦笑いする専務に、新見さんが身を乗り出してきた。
「次はどんなこと考えてるんだよ」
「アンテナショップをかねたバーをやりたいなって思ってます」
「面白いんじゃね? 企業が自社製品を宣伝するために店を出すの流行ってるし。それだけなら特に反対もされないだろ」
「その接客や運営を、ある程度社員に任せたいなと思って」
「社員?」
「できれば親会社も子会社も関係なく、あちこちの支店のあちこちの部署から社員をあつめて、ローテーションで。これだけ会社が大きくなると、消費者の直の反応を受け取れる場所はほとんどないし、縦割りの組織じゃ他部署と話す機会もほぼない。最初は希望者だけになるだろうけど、ゆくゆくは年齢も役職も関係なく交流できる貴重な場所になると思うんです」