【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「今作ってる缶詰も美味しいし、非常食という位置づけも大切だけど、もっと人がわくわくするような商品も作りたいって。こういう新しい果物のリキュールもそうだし、定番の缶詰も子供に人気のキャラクターとコラボしたり、高級志向のプレミアムラインを作ったり。すごい勉強していろんなアイデアを出してきてさ」
そう言われ、目の前にあるカクテルを改めて眺める。
「最初はなんの経験も知識もない小僧が、なに生意気なことを言ってるんだって、上は反発してたんだけど、言葉だけじゃなく、だれよりも熱心に仕事をして何回もめげずにプレゼンする姿に、みんなどんどん絆されちゃってさ」
その頃の専務の姿を想像して、なぜだか鼓動が早くなった。
じわりと頬に熱が集まる。そのほてりを誤魔化すように、またごくごくとカクテルを飲む。
「私、専務は昔から自然に仕事もできて人から好かれて、いつも余裕でいるんだと思っていました」
「あいつは余裕でいるように見えて、実は誰よりも努力家だし負けず嫌いだよ」
「……そうなんですね」
「あいつのサポートは大変だろうと思うけど、よろしく頼むね」
柔らかな口調でそう言われ、慌てて頷いた。いつものような無表情をつくろうとしたけれど、なぜか顔が熱くてしかたない。
「そういえば、キウイのカクテル美味しい?」
「あ、美味しいです、とても。種のつぶつぶの食感が面白くて」
私がそう言うと、新見さんが満足そうに笑った。