【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「ちょっと、その上目遣いはずるいから一回やめよう」
意味がわからなかったけれど、素直に「うん」と頷くとまた専務が顔を覆う。
「新見さん、お願いだからちょっとキウイが何科か調べて」
「はー? なに突然」
「お願いです」
「わかったよ」
取り乱す専務を面白がるように笑いながら、新見さんがスマホを操作する。
すぐにわかったのか画面をこちらに見せて言った。
「へぇ、マタタビ科だって。知らなかった」
「……やっぱり、マタタビかよ」
専務がそうつぶやいてこちらを見る。
じっと見つめられて、頭の上の猫耳がピクピク動いてしまう。むず痒いような落ち着かない感覚。
思わず隣に座る専務の肩先に、額をこすりつけた。
「わ、ちょっと詩乃ちゃん、なにそんな可愛いことしてんの!」
「ん。なんかむずむずして。ダメですか?」
専務の首筋につむじのあたりを擦りつけながらそう言うと、専務の体が強張る。
「詩乃ちゃん、じゃあこっち来る?」
新見さんにそう声をかけられ顔をあげてそちらを見ると、専務の手で目を覆われた。
「詩乃ちゃん、そんな顔で男を見るの反則だから」
「どうして?」
瞼を覆う専務の手が、ひんやりして気持ちいい。
思わず手のひらに頬ずりしながら専務の顔を見上げると、専務は天井を仰いでため息をつく。
「すいません新見さん、詩乃ちゃん連れて帰ります」
「いいよ。お前が女の子相手に取り乱すの、初めて見られて面白いし」
肩を揺らして面白がる新見さんに、専務は困ったように顔を歪めた。