【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 




そんなに飲んでいないはずなのに、なぜか足に力が入らずに、専務に抱きかかえられるようにしてタクシーに乗せられた。

くたりと専務の肩に頭を預けているうちにたどり着いたのは、見上げるほど高い立派なタワーマンション。

ここは、どこだっけ? と考えているうちに、部屋の中へと連れて行かれる。

広いリビングに置かれた革張りのソファー。
そこに寝かせられ、ぼんやりとしていると水の入ったグラスを差し出された。

「はい、詩乃ちゃん大丈夫?」

わざわざ水を持ってきてくれたけれど、喉は乾いてない。
それよりも、そばにいてほしい。

そう思いながら、グラスを持つ専務の手の甲に顔を近づけ頬ずりする。

乾いて少しひやりとした手の甲。
アルコールのせいか熱を持ち火照った頬に、専務の手の感触が気持ちよくて、うっとりと目を閉じた。

すると、私の行動に動揺したのか、専務の持つグラスの中の水面が揺れた。

「詩乃ちゃん……」

専務の長い指から、するりとグラスが滑り落ちた。

音をたててフローリングの床に転がり、透明な水たまりが出来る。
コロコロと転がったグラスが動きを止めるまで目で追ってから、専務の顔を見上げた。

同じタイミングで、専務も私のことを見た。

 
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