【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「わぁぁぁ…凄い…」
「目が輝いてるな笑」
今まで見たことない形、食べたことのない食感。
正に空前絶後!!………なのかな?笑
「味によって食感も違うんだってさ。
璃乃のちょっと貰っていい?」
私はアイスを口に入れながらこくりと頷いて持っているカップを差し出した。
「本当だ、全然違ぇ…」
「私も食べたい!」
その時、横を通っていた人にぶつかってしまい運悪くも自分の持っていたスプーンを落としてしまった。
「…あっ」
地面に落ちてしまったスプーンを見つめると、月星がアイスの乗ったスプーンを私の口元に近付けてきた。
「ほら」
急な展開に頭がついていかない。
だってこれって………!!
世にいう、あーんってやつだよ?!
ドラマとかでしか見る機会がなかった、あの恋人っぽいやつ……!
「早く食ってくれないと俺も恥ずいんだけど…」
「あ、あ…うん、えっとあの…ありがとう!」
思い切って月星の持つスプーンに食らいつく。(ただアイスを食べるだけだけど、心持ちとしては大きな肉にかぶりつく感じに似ている)
「美味しい!」
なんて適当です、ごめんなさい!
味なんか感じられません、心臓がうるさいくらい痛いくらいバクバクしててそれどころじゃないです…
「だろ?」
月星は事も無げにまたアイスを口にする。
か、間接キス……
あーんで忘れてたけど間接キスだった…
ドキドキしすぎてそれどころじゃなかったけど…
1人で恥ずかしくなって、顔が赤くなっていくのを自分で感じた。
「す、スプーン貰ってくる!」
とにかく落ち着きたくて、走って逃げてきてしまった…
1人でドキドキして恥ずかしくなって馬鹿みたい!
月星はあんなに冷静だったのに。
冷静…なのも何か嫌だな…
やっぱりこういうの慣れてるのかな…
慣れてるんだろうな、じゃなきゃあんなにさらっと出来ないもんね。
自問自答の末に自分と月星との間を少しだけ寂しく感じた。