【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「そこのお2人さん!
今日の記念でお揃いに指輪なんてどうだい?」





私たちに声をかけてきたのは少し古びた感じのお店の前に立っていたおじさんだった。





「一応、この店やってるんだけどね…こんな時代に取り残されたような店じゃお客さんもなかなか来なくてね」





私と月星は顔を見合わせると、お互いにうなづいて





「そうなんですか?」





と返事をした。

おじさん…店長さんは久しぶりにこんな若い子と話せて元気が出ちゃうねと嬉しがった。





「指輪…」





指輪なんて持ってないし、つけたこともない。

おまけにどこか指輪って距離がある…ように感じてしまう。今の私には。


もっと大人の人がつけるっていうイメージ。





「こんなシンプルな指輪はしないのかな、若い子は」

「私、指輪ってまだつけようかなって思えないんですよね…」





銀色のリング。

本当にシンプル。だけど、だからこそ何にでも合うんだろうな。

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