【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「ちょ、ちょちょちょ…!
もうちょっとゆっくり!…ゆっくり行こうよ」
「大丈夫、人間だから」
暗くて見えないけど絶対にやついてる…!
「うぅぅ…」
中の雰囲気は最悪。
いや、お化け屋敷としては最高なんだろうけど……
あっちの方から微かに女の人の声が聞こえるし、空気もひんやりしてる。
心臓がはち切れそう。さっきから冷や汗が止まらない。
人の気配を後ろに感じる。(怖さから余計に感覚がおかしくなってるからかな)
「ま、ままま待って…!
本当に入るの?!絶対罠じゃん!」
「まあ…罠だな笑
でもほら、入らないとクリア出来ねぇぞ?」
このお化け屋敷の設定として、私達お客は廃墟になった学校で霊を供養しなくてはならないという使命が課されている。
最初に渡されたお札を指定された教室に置くっていう…よくあるっちゃあよくある設定、なのかな?
ありきたりな設定でも怖いもんは怖いけど!
「ほら、開けるぞ」
少し緊張感のある月星の声と扉がカラカラと開く音。
お札を置くらしい机はぼんやりと赤く照らされていた。
それがまたもう怖い。
ここに置いた瞬間に何かしますよ、みたいな雰囲気が醸し出されてるよ。
月星が1歩歩く度にぎしっと床が軋む音がする。
こんなの学校生活内で何度も経験している音なのに…雰囲気って大事だな。
「さ、差すぞ?」
「う、うん…」