【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
女の人が追っかけてこないと思ったら、次にお札を置く部屋がすぐそこにあった。
さっきのことがあって、余計に緊張をしながらお札を差して部屋を出ようとするとロッカーから同じように苦しむ男の人が飛び出してくる。
その頃になると、無意識に私は月星の腕を離そうとはしていなかった。
ただただ逃げたい。早く終えたい。その一心。
「も、もう無理…
絶対寿命縮んだよ……」
「あと、1枚…だから、なっ?」
月星も少し息が上がってる。
一度大きく息を吐いてから扉を開ける。
「さあ判決を下そう」
部屋に入ると閻魔大王…のような者が映されていた。
「な、何の判決?」
もちろん月星も理解出来ていない。
「選ぶがよい。
その選択次第でお前達の運命は変わるだろう」
すると閻魔大王が映った画面の両端の扉が照らされた。
「その手に持つ札をこれまで通り供養に使うか、止めるか。
さあ選ぶがよい」
思ってもみなかった展開に頭が追いつかない。
供養することが私達の使命なんじゃないの?
「このまま続けるだろ」
「う…」
うん、と言いかけて思い出す。
今まで机の窪みにお札を差すことで周りの霊は苦しみだした。
供養ってそういうことなの?
霊を安らかに成仏させるための手段じゃないの?
どうも引っかかる。
気付くと『continue』と書かれた扉の方へ向かう月星の腕を引っ張っていた。
「……やめよう?」
「何で。これをしないと終えられないだろ?」
「うん、でも…
供養になってるのかな、これ…って思って」
すると月星は、よしと言って私の手を取って『retire』と書かれた扉を開ける。