【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「…る、月星?!」





私の家の前に月星がいた。





「璃乃!
あの、話があって…」

「…この紙のこと?」





私がその紙を見せると月星は目を見開いた。





「そ、それどこで…」

「さっき、月星が昨日一緒にいた女の人に会って…聞いたの。
どうして何も言ってくれなかったの?」





渋々というように月星は口を開いた。





「悪かった。
その…言ったら璃乃が自分を責めると思って言えなかった。
俺は璃乃と一緒にいたくて一緒にいる。誰に何て言われようと俺は璃乃の隣にいたい。
でも…そう思って取った行動が結局は璃乃を傷付けてたんだな…ごめん」

「あの女の人は?」

「前に怜央から少し聞いたと思うけど…あの人は俺が中学の時に家庭教師だった小山内 桜(おさない さくら)先生。

ばったり会ったんだ。俺が悩んでるのに気付いて相談に乗ってもらってた。

でも璃乃が思ってるような関係じゃないから…!」





…私の勘違いだったんだ…良かった。





「私こそごめん!
月星はそんなことするような人じゃないって分かってたのに…なのに疑った。
こんなんじゃ彼女失格だよね…」

「そんなことない!
俺こそ不安にさせて悪かった…
これからはもっとちゃんと話し合おう」

「うん…」





久しぶりに抱き締めた月星から体温を感じて、それまでの不安だった心は溶けてなくなっていった。

体全体が暖かくなる。


安心したせいか涙が頬を伝って止まらなくなる。





「る、月星ぁぁぁー」

「よしよし、ごめんな?」





いつまでも頭を撫でていてくれた。





「…はぁぁ?!」





声が聞こえるまでは。

< 142 / 171 >

この作品をシェア

pagetop