【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「メロンパン…」
「何、食う?」
あ、いやいや!大丈夫です!
なんて言うけどメロンパン凄く懐かしい。
昔、家族で行った遊園地に焼きたてのメロンパンを売ってる車が来てて、その良い匂いにつられて食べたいってねだったなぁ…
未だにあの、かりかりさくさくふわふわは…忘れられないな。
口に入れた卵焼きが一瞬だけメロンパンの味がして、ちょっとヤバイなって感じた。
お弁当を食べ終わって蓋を閉める。
屋上なんて初めて来るからちょっとわくわくしてる。
その場に立ち上がって前に2歩3歩進む。
きっと、こんなことしてるの限られた人だけなんだろうなって思うとちょっとした優越感に浸れた。
私がもう1歩足を出そうとすると、ぱっと腕を掴まれて
「嬉しいのは分かるけど、それ以上そっち行くと誰かに見つかるぞ」
その一言で今ここにいるのはいけないことだったんだと思い出した。
「俺も食べ終わるし教室帰ろっか」
そう言って袋をくしゃっとまとめて屋上を出る。
何だか一気に現実に戻った気分がした。