【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
うぶ恋:【おまけ】
物語の主人公
--Kota:Side--
今まで幸か不幸か、可も不可もない人生を歩んできた。
誰かに嫌われることも、激しい衝突もない…平凡な人生。
そう。僕は立派なモブキャラ。
漫画の中でよくいる、多くの人間に埋もれた存在。
セリフなんて滅多になくて、名前だってほとんどの場合ない。
あったとしても覚えられていない。
…そんな、モブキャラ。
可愛い人、格好いい人。
世の中にはたくさん主役級の人がいるけれど、やはり大半はモブキャラに代わりない。
僕もそんな中の1人であることは誰もがわかることだろう。
でも自分の人生では自分が主人公。
他の誰が何と言おうが、僕だけの物語。
僕が主人公でいられる、ただひとつの物語。
ずっと、そう思っていたのに。
彼女に会ってから、彼女の物語のヒーローになりたいと思ってしまった。
それはきっと、心の奥底にあった主人公になりたい僕の願望で。
役どころなんて関係なく、ただ彼女の隣にいたいと思った純粋な願望で。
柄にもなく、頑張りたいと思ったんだよ。