【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
幸せになって、と祈りながら物わかりのいいふりをしながら、きっと僕は傷ついていた。
僕だけを見てほしかった。
先に彼女を見つけたのは僕なのに。
彼女をずっと見守っていたのは僕なのに、と。
傷ついて、立ち止まっていた。
忘れることなんてできず、いや忘れることなどせずに。
「このあとって予定ある?」
「ううん、ないけど…」
「じゃあさ、何か食べに行こ!お礼に奢らせてよ!」
だからこそ、また思い出してしまう。
同じようなことが昔もあったな…
なんて。
あの時のことがフラッシュバックされて、彼女の顔が頭に浮かんでから離れない。
これは、僕があの時のままずっと進めていないことを示している。
変われていないことを示している。
「…泣いてるの?」
気付けば、熱いものが頬を流れ顎にまで伝っていた。