【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「私じゃ…ダメかな?」
「…え?」
「橋本くんの過去に何があったかはわからない。でも今、橋本くんは大学生で私の目の前にいる。そして橋本くんの目の前にいるのは私、大澤 結乃だよ。それだけじゃダメかな?」
この子は変われる力を持っている。
強さを持っている。
僕なんかより、ずっとずっと強い。
「私たちは未来に向かって生きてる。橋本くんの未来に私がいることはできないかな?橋本くんの中に私のスペースを作ることはできないのかな?」
もしかしたら僕と似てるのかも、なんて思ってしまった自分が腹立たしい。
「ありがとう…」
「橋本くん…改めて言います。
好きです。私と付き合ってくれませんか?」
変わるために、誰かに頼ってもいい?
久しぶりの笑顔を取り戻してくれた彼女にもたれかかってもいい?
「こちらこそ、よろしくお願いします…」
やっと、やっとわかった。
僕は誰かの物語のヒーローになりたかったんじゃない。
──誰かと、2人の物語を作りたかったんだ。
「高校の時にね…」
僕は彼女のことを話した。高校生時代、そして今に至るまでずっと頭にあった彼女のことを。