【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「璃乃さん…
私、璃乃さんを越えられるような存在になるね!」
「大澤さん…」
僕だって彼を越える存在になりたいって思った時もあった。
いや、ずっと思っていたんだ。
それでも越えられなかった。
自分ではどうにも太刀打ちできなくて、どんどんと彼女の中で彼の存在が大きくなっていく様を僕は間近で見ていた。
"こちら側"の気持ちを充分なほど理解しているつもりだ。
今、目の前の彼女に感じているこの思いは果たして同情なんだろうか。
答えがわからない。
「だから!私のことは結乃って呼んで」
「…結乃?」
「そう!
私も幸大って呼ぶから、ね?」
「うん」
それでも、今から知っていけばいいんじゃないか。
始まり方が少しおかしいとしても、今この瞬間の僕は結乃といたいと思っている。
僕のことをこんなにも思ってくれている彼女を大事にしたいって。
変わり身が早い?
でも、僕も先に進まないといけないから。
結乃と、一緒に。