【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「さっき松下くんと話し込んでたけど面識あったっけ?」
「ううん。格好いい人だなと思って」
私がそう言うと幸大はがっくりとうなだれてから、少しだけ鋭い視線を向けた。
「結乃まで…」
実際、格好よかった。
誰もがイケメンだと口を揃えて言うだろう。
でも私は幸大がいいし、幸大のことばかり考えているんだけどな。
「うそうそ。挨拶しただけだよ。そしたら幸大のことよろしくって」
「松下くんが?」
「彼、幸大に悪いことしたって言ってたけど…」
「…若気の至りだよ」
遠くを見つめて懐かしそうに言うもんだから、隣で吹き出してしまう。
「まだ数年しか経ってないけどね?」
「うん。でも僕はこれからのことを考えたいよ。まだ何十年もあるんだから」
「そうだね。人生は長いね」
今日のことも、こうして懐かしそうに話される日が来るのかな。
現在(いま)は必ず過去になる。
今のままで止まることもできない。
そして、これからある長い長い未来がどうなるのかなんてことも誰にも予想できない。
だけど過去ばっかりを気にするよりも未来を見て人生を歩みたい。
悲しいことがあっても辛いことがあっても、前を向いて進みたい。
その隣には、幸大にいてほしいんだ…
なんて、言っちゃったら真面目な貴方は本気で考え込んでしまうでしょ?
じっくり考えて、私といるんじゃなくて。
気付いたら、ずっと一緒にいたなぁ…
これからも、ずっと一緒にいる気がするなぁ…
そんな風に感じて、私といてほしい。
某有名映画の超人気俳優が言った、名ゼリフみたいだけどね。
私の本音。
いつか、言える日が来るのかな…
--Yuno:Side End--