【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「月星、楽しそうだな」
「え?んー…そうか?」
屋上の帰り、怜央は小さく俺に言う。
まあ…最近楽しいことには楽しいし、日曜日も楽しみ。
あの璃乃がTwinkleのファンだった。
最初はただ可愛いと思って声をかけただけなのに、ここまで引き込まれてる。
一体どうしたもんか…
女なんて容姿とか周りの評判とか見栄とか…そんなんで男を選んでる、だろ?
俺の中身なんてどうでもよくて、ただ"俺"という存在に価値があるんだろ。
ずっとそう思ってきたのに璃乃は違った。
そんな璃乃を落とすために本心を見せた…はずだったのに
そうか。俺は…
本心の俺を見てほしかった。
ただ単に璃乃の特別になりたかった。
こいつを呼び捨てで呼べるのは俺だけだと。
…はぁ。変わったもんだな。
何で俺、こんなに璃乃にハマってんだ?
早く日曜日になれ。
前を悠子ちゃんと楽しげに喋りながら歩く璃乃を見ながらそう思った。