【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「狙った獲物は逃がさないタイプだから…」
ふっと笑ったあと私にしか聞こえないように
「覚悟してて」
低くて少しかすれた声で囁く。
その声が耳の鼓膜をかすめて頭の中に一際大きく響く。
気付くとその場には自分1人だけ呆然と立ち尽くしていた。
「りーーーのーー??!」
まだぽやーんとした頭を起こしてくれたのは悠子の声。
「今の何!いつ松下くんに知られるようなことしたの?!」
鼻息を荒げて興奮ぎみに叫ぶ悠子。
「私のバイトしてるカラオケ店で…」
出会ったこと自体が間違ってて。
私とは全く違う世界に生きてる人。
交わることもないはずだったのに。