*ひとひらに*
過去を思い出していた愛加は不幸にも高野と目が合った。

「はぃ、愛加さん。この問題解いてください。俺と目が合って悪かったなぁ」

数学だった。

いつもは担任じゃないはずだが、今日は担当の教師が休みということで臨時に担任がついた。…最悪。

周りがくすくすと笑い出した。

「分かりました」

愛加は睨み、そして立ち上がった。

すらすらと問題を解いた。
カツッ、チョークを無造作に置く。

「先生・・・・・・分かりません。。」

「 ? できてるじゃないか」

問題は綺麗に解けていた。

「≪目が合うと、当てられる≫理由が・・・」

いつのまにか帝が起きていた。(また寝ていたのに関しては放っておこう)

「先生・・あんまり私をごひいきにしてくださるのも嫌ではないのですが・・

この授業で当てられるの、7回目です。皆は1・2回なのに・・」

お得意の涙目+上目遣い。これが本性かは、今は誰も知らない。

教室がやけに静まり返る。

「先生。朝も言ったけど・・・。 授業はノンストップでお願いします」

学級崩壊寸前のような気がしてくるのはどうしてだろう。

帝はため息交じりで席を立った。 と同時に授業の終わりを告げるチャイムも。
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