好きその2文字が遠すぎて


私と彼―椎名くんは約4年付き合ってた

大学2年―付き合ってから2年目に同棲を始めた


同棲を始める前も始めた後も私たちはどこにでもいる普通の恋人同士だった

―朝は彼より早く起きて朝食を作って一緒に食べる

そしてそれぞれ大学に行く

夜ご飯は2人で食べることが多かったけど
週1ぐらいは椎名くんの友達たちとわいわい食べてた

そこには高校からの友達も―鈴木くんももちろん

来てくれた

その何気ない日常が私にとっては幸せだった

そう、周りから見て私たちは仲睦まじい恋人同士だった

鈴木くんにどうして、相手の女の子に"好き"と言ってた

そう言えなかったのだろう

自問自答するまでもない

私は椎名くんに"好き"はもちろん"愛してる"その類の言葉を言われたことが1度もなかった

付き合うとなったときは流れでというか…"付き合おう"そんな言葉で

その後初めて2人で過ごした夜にも…言われることはなかった


だから鈴木くんがあれだけ誤解だと言っても信じることなんてできなかった

彼があの子に言った言葉は何年間か私が喉から手が出るほど欲しかった言葉

でも考えれば分かった話だ

他に好きな子がいる

私が好きじゃない

そのどちらかだから言わなかった

ただ、現実を見れなかった

それだけ___
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