好きその2文字が遠すぎて

昨日は何も食べずにまた眠ってしまった

食い意地の張ってる私が3食も抜くなんて

只今の時刻13:30

近所のおじさんなのか、下から男の人の声がする

父親でも弟でもない


この家は普通の2階建ての一軒家だ

親戚のおじさんとか知ってる人が来たら声が聞こえた時点ですぐに下に行って挨拶したりする

私の家系は皆声が大きいから誰が来たかすぐ分かる

でも今日はよく分かんないな


前とってた新聞をまたとってほしいって新聞屋さんが来てるのかな

ご飯食べなきゃだしとりあえず下に行こう

そう思いベッドから出た瞬間

コンコン

ノックされた


私の家族は皆どの部屋に入るにもノックしない

だから家族ではないことは分かる

でも、この家に他人が入ったことはほとんどないのだ

私の記憶が正しければ祖母でさえ2回だけ

1回母に見つからないよう友達を入れたことがあるけど…

弟が友達を連れてきたいと言っても断固拒否だったのを覚えてる

そんな母が寝てる(とは思ってないのだろうか)娘の部屋に他人を通すなんて⁉

私からすると大ニュースだ



「起きてて入っていいならノック返して」

ウソ…


椎名くんの声だ


ママ…なんで入れたの…


隠れなきゃ


「小倉?」


なんで来たの…


意味が分からない


だって椎名くんからしたらやっと別れられて本命と付き合えるのに…



…つーか他の女とあんなことしといてどのツラ下げでここに居るんだよ


ムカついた


こっちから出てやる


「椎名くん何やってるの?
どうせ居留守使ってるだけなんだから入っていいのよ

ハイ」


ママーー⁉

なに開けてるのよ

「茜(あかね)さん、そういうわけには…」

ママのことは名前呼ぶんだ…


「隠れてるってことはどこを見られても文句言わないってことだろうから
この部屋だけは物色OKね」

最悪

「そんな…」

「あと、上には誰もあがらせないようにしとくから…でもあまり気持ちよくしすぎちゃダメよ
下まで聞こえたら大変だから

じゃぁね〜」

重ね重ね最悪だ


「嵐のような人だな」


「小倉、出てくるのが嫌ならそのまま聞いて

耳だけは塞がないで欲しい」


私のことは小倉なのに…

母親にまで嫉妬する私ってなんなんだろう
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