走馬灯
アッという間に結納はすみ、

俺たちは婚約者となってしまった。


さすがに兄ちゃんにも言わないとまずいと思い、

かなり遅い事後報告をした。


兄ちゃんは

何よりむこうの実家が裕福なので、

婿に入り

俺が肩身の狭い思いをしないか

そればかりを心配してくれた。


“大丈夫だよ。俺のことは心配しなくて良いよ。”

そう言いながらも・・・

不安と

そして憂鬱でいっぱいだった。


今ならまだ逃げられる。

いやもう無理だ!!


自問自答を繰り返す。

でも答えは出ない。

そんな勇気は俺にはないんだ。


そして俺は・・・。

そう・・・・・・・・・・・・・


思いきり階段を踏み外していく。



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