走馬灯
いつもコンビニ弁当で、

一切料理をしない俺には

とてもありがたかった。

そしてさり気なくやさしいひなに、

俺はどんどん惹かれていった。


そのうち洗濯もしてくれるようになった。

洗濯は嫌いで、

特に洗った後に

たたんでしまうのがイヤだった。

ひなはキチンとたたみ、

下着、シャツ、靴下などを本当に丁寧に分けて

俺が探しやすいようにしまってくれる。

俺の心はどんどん癒されていき、

もうアルコールは完全に抜けていた。


ひなが泊まっていくことが多くなってきた。

ひなの部屋にはほとんど寝泊りすることなく、

生活は俺の部屋がほとんどになってきた。


俺は言った。

“一緒に住もうか・・・。”

ひなはうれしそうにうなづいた。

そしてひなは部屋を引き払い、

二人の生活がはじまった。


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