〜甘く、危険な恋〜止まない、愛してる。
「……何するの?」
「……何も?」
と、自分から隅へ追い詰めておいて、にやりと笑う。
「用がないのなら、もう戻りますから」
その意味不明な言動に、少し苛立って言うと、
「用は、ある」
行きかけた腕が引き戻される。
「……誰もいないのに、何もしないなんて、」
シルバーのスーツの胸にいきなり抱え込まれて、
「……もったいないだろう?」
締めているグリーンのネクタイが顔にあたる。
「……もったいないことなんて、別に……」
「別にか……」
呟いて、
「……つれないんだな?」
わざとらしく訊いてきて、何も答えずにもいると、
「俺も、別に何もする気はないけどな…」
急にまた腕で押し戻すようにして、身体を引き離す。