〜甘く、危険な恋〜止まない、愛してる。

何がしたいのか、まるでわからなくて突っ立っている私に、

「もう行け。そろそろ誰か来る」

耳打ちをしてくる。

「ああ、はい…」

わけもわからないまま、背中を向けると、

「次に会ったら、その時には……」

彼が言い終わらないうちに、会議室を足早に出た。

次に会ったら、その時には何だっていうんだろう……。

不意打ちで抱いて、やっぱり突き放すとか、彼の行動が理解できない。

ただ、胸に抱かれた時に、早まる鼓動が聴こえた。

……あの人も、もしかしたら緊張をしてたのかもしれないとも考えて、

でも人を弄んでいるようにしか感じられないのにと、再び苛立ちが胸を込み上がって、

あんなことをする人が、何を緊張するわけなんかあるんだろうと、そう思った。



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