〜甘く、危険な恋〜止まない、愛してる。
「……離して」
抗って、腕の中から脱け出そうとすると、
「……そんなに俺が嫌か…」
呟いて、スッと腕をほどいた。
「……嫌です」
一言を告げて、止まっていたエレベーターに乗り込んだ。
彼は、追いかけては来なかった。
あんなことをしてきて……触れられた唇を手の甲で拭う。
だけど、無理やりには奪おうとしなかった……。あんな、触れるか触れない程度で……まるで、やさしくいたわるような、キス……。
本当は、嫌じゃなかった……思いかけて、唇をもう一度拳で強く擦って、そんな考えを頭から振り払った。