〜甘く、危険な恋〜止まない、愛してる。
この場から早く立ち去りたいと思うのに、
「……俺を、避けるなと言ったよな?」
手が伸ばされて、髪がスッと梳かれた。
「重成さんが、女の人といるなんて……」
「……ねぇ、相手の子って誰なの?」
エントランスにいる退社をする女性社員たちの話し声が、耳に入る。
「……ほら、あなたが私をかまうと、あんな風に陰口を言われるんで、やめてください」
「……あんなの、放っておけばいい」
もう一度、今度はゆっくりと手で滑らせるように髪が撫で下ろされて、
「……何あれ!?」
周囲の声が、一際大きくなる。