おはよう、きみが好きです



『やっぱり、元気ねーな』


「え……」


『泪、約束守れなかった日とか、すげー落ちこんでるだろ。でもな、俺はちゃんと分かってるから』



あたしが、約束守れなくて落ちこんでること。

八雲は、どうして……分かるの?

どうして、なにか理由があるって信じてくれるんだろう。



「どうして……」


『泣きそうなくらい、俺との約束を大切に思ってくれたのが嬉しーんだから、んな落ち込むなって!』



八雲は……バカだ。

あたし、まだ隠してることがあるのに。

なのに、まっすぐに疑いもせずあたしのことを信じてる。



『映画はまた今度チャレンジすっか!』

「…………」


隠してること話せよって、責めていいはずなのに。

八雲は、あたしの隠してることに触れない。


「あのね、八雲……」


それが、本当に申しわけないのに……。

言いかけた言葉は喉でつかえて、声にならない。

話したいのに……話せない、その繰り返しだ。



『泪……』


「っ……あたしっ……」


やっぱり話すことが怖い。

ごめん、同じだけのまっすぐな心を八雲に返すことが出来なくて。

嘘ばっかり、だんまりばっかりでごめんねっ。


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