おはよう、きみが好きです
「難波、お前やるじゃないか。神崎のこと、頼んだぞ」
「もちろんですよ、泪のことなら」
迷わずにあたしのためならと言ってくれるのが嬉しい。
ありがとう、八雲。
「新学期からクラスには顔を出してないからな。神崎のことをホームルームで紹介しようと思うんだが、いいか?」
「はい、お願いします」
なんだか、転入してきたみたいな緊張感があるなぁ……。
バクバクする心臓に、少しだけ気分が落ち込む。
あたしはひとりじゃない、八雲がいてくれる……だから、お願い、このバクバクおさまって!!
チラリと八雲を見上げると、視線に気づいた八雲がフッと笑う。
「俺がいるから、アンタはいつも通りニコニコしとけって」
「八雲……ふふっ、うん!」
八雲は、あたしが不安なことに気づいてくれてたんだ。
不思議、あんなに不安だったのに、今は八雲と過ごす学校生活に夢が膨らむんだから。
「ほら、手貸せって」
「う、うん……」
前を歩く高橋先生にバレないように、こっそり八雲と手を繋いだ。
あたしの手が冷たすぎるのか、八雲の体温が高いのか……。
温かい……八雲の手に、ほっとする。
そんな八雲に励まされながら、あたしは教室の前へとたどり着いた。