おはよう、きみが好きです
「あっ……よ、よし」
八雲の笑顔に突き動かされて、軽く意気込んでみる。
八雲がいてくれる、だから大丈夫。
なんか、元気出てきたっ!
後は、ニコッと笑って、元気よく名前を言えばいいだけだっ。
「……か、神崎 泪です!体調を崩して保健室で授業を受けていましたが、今日からこちらでお世話になります。よろしくお願いします!」
バッと頭を下げれば、一瞬の沈黙があたしを包む。
そして、すぐにパチパチパチッと拍手が落きた。
「お世話になりますって、なんか嫁に行くみてー!」
「神崎さんって、面白いんだな!」
「でも、なんか可愛いよね」
「確かにっ、神崎さんよろしくねー!」
あ、あれ……歓迎されてる?
少なくとも、あたしを余所者だと邪険にするような空気は無い。
ここが、これからあたしが過ごす場所か……。
ドキドキとワクワク。
そして、うまくやれるのかっていう気持ち。
胸にあるのはそんな期待と少しの不安だ。
でも……。
「泪、これからよろしくな!」
屈託の無い笑顔で……あたしをいつでも受け止めてくれるきみ。
そんなきみがいる場所だから……。
「うんっ、よろしくね!」
あたしはあの場所を、出ようと思えたのかもしれない。