おはよう、きみが好きです
「あ、あたしは……」
「あっ、あの!一気に覚えられそうにないので、メモ取ります!」
「え、メモ??」
「はは!神崎さんって、おもしろーい!」
ノートに書き出せば、忘れないしね!
クラスは30人近くいるし、頑張って覚えないとっ。
そう思ってこっちは真剣なのに、なんでかみんなは笑ってる。
「もう、人事だと思って!!」
ついむくれると、また笑いが起きた。
物覚え悪いから、こうでもしないとみんなのこと名前で呼べるようになるまでにすごい時間がかかっちゃうんだから。
「なぁー、なーに楽しそうに話してんの?」
「え……わっ!」
すると、背後からヤツは現れた。
フワリと香る、甘い香水の匂い。
あたしを後ろから抱きしめるのは、振り返らなくても分かる、八雲だ。
「数時間前まであんなに不安そーな顔してたのに、もう俺がいなくても平気なわけ?」
「なにを、おっしゃってるんですか」
声のトーンは明らかに不機嫌そう。
抱きしめる腕はどんどん強くなっていくから、戸惑う。
しかも、めっちゃみんなが見てるから!!