おはよう、きみが好きです



「だって、八雲前と変わっちゃってつまんない」

「変わった?」

「なーんか、神崎さんのことになるとナヨナヨしてるし、余裕ないし、正直言ってしょぼい」

「……聞かなきゃ良かった」



どうせこいつも、俺の見てくれと余裕のある感じが好きだったってだけだな。

どんなに美人でも可愛くても、もう俺には泪しか見えない。


「ま、最後に修羅場見たかったから、これで終わりにしてあげるね」

「最悪だ……性格悪すぎだろ」

「ふふっ、じゃあねぇ〜」



ヒラヒラと手を振って去っていく橋本。

あぁ、なんか橋本と話したらどっと疲れたわ。


それよりなにより……。


「くそっ、アイツを傷つけた……」


守るつもりが、俺がアンタをっ。

後悔しても、時間なんて巻き戻せない。

今ほど、神様に願いたい気持ちなのは初めてだ。



「俺が橋本さんがの言うナヨナヨした男になったのはきっと………」


本気の恋をしたからだ。

俺にしてみれば、ここまで一途になれたこの恋は、初恋なんだと思う。


だからこそ、泪のことを守りたくて、空振りして傷つけたと思ったら、怖くて……。

余裕なんて……とっくに無くなってた。


< 182 / 259 >

この作品をシェア

pagetop