おはよう、きみが好きです



「あーっと、今日ね、駅前のティエドゥールカフェって所に行ったんだ」


悩みに悩んだすえ、あたしは今日環奈たちと言ったカフェの話をする。



『あ?か、カフェ?あー……そういや、そんなカフェがあるって、田崎が言ってたな』

「そう、環奈が連れてきてくれたんだ」

『そ、そうか……た、楽しかったか?』

「う、うん……」



あぁ、どうしよう……。

本当は、こんな話をするために電話したんじゃないのに。

本当は、ごめんね、話したいことがあるから、明日会おうって、ただそれだけを伝えたいのに。

本当に伝えたいことを言葉にするのって、なかなか難しいな。


『お、俺は……今日カラオケに行った』

「えっと……紫藤くんたちと?」

『そー、和樹もいたけどな』

「へ、へぇ〜……」



あーと、次の話題、次の話題っ。

沈黙にならないように、会話と会話の間をなるべく作らないようにって、ふたりでマシンガントークをする。


「あ、あのね!!」

『あ、あのさ!!』


そしてついに、ふたりの声が被ってしまった。

うぁぁぁ〜、もう終わりだ。

こういう時に次の話題を振るのって、めちゃくちゃ難しいのにっ。

泣きたくなってくる……。



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