おはよう、きみが好きです
「お願いだからっ、八雲っ、八雲っ……」
「神崎さん、部屋に戻って。あなたも目が覚めたばかりなんだから、無理してはだめよ」
さっきの看護師さんがあたしの肩を抱いて、八雲から引き離そうとする。
八雲が、このまま目覚めなかったらどうしよう。
そばにいたい、あたしが辛い時、八雲がそうしてくれたように。
「離れたくないっ、お願い……八雲のそばにいさせてっ」
「神崎さん……なら、検査を受けて、食事もしっかり食べたら、ここへ来てもいいから。今は一度戻りましょう?」
「でもっ……八雲をひとりにしたくないっ」
「大丈夫、なにかあればここには看護師もお医者さんもたくさんいるから、ちゃんと神崎さんに教えるわ」
そう言って、看護師さんはあたしの背中を優しく撫でてくれた。
それに、ゆっくりと気持ちが落ち着いてくる。
看護師さんの言う通りだ……。
八雲が目を覚ました時、あたしがボロボロだったら、きっと心配するもんね。
「また会いに来るから、待っててね八雲……」
だからあたしは、看護師さんの言う通り部屋に戻る。
検査を受けても、とくに異常はなかった。
全身打撲だけで済んだのは、八雲が庇ってくれたからだろう。