おはよう、きみが好きです
「泪は無事だよ、むしろ八雲くんより先に、目が覚めてた」
「えっ、俺より先に……?」
「事故の当日に目覚めて、検査もしたけど、異常はなかったよ。きみのおかげだ、八雲くん。本当にありがとう」
「い、いえ……俺がしたくてしたことなんで」
そっか、泪の方が先だったのか……。
なんだ、それなら俺の方が待たせちまってたってことだ。
遅くなってごめんな、泪。
「今は、過眠症の方でまだ目が覚めてない。ちょうど傾眠期に入ってるからな。事故のストレスも祟って、しばらくは目覚めないと思う」
「傾眠期……」
確か、ネットに眠りに入る時期だって書いてあったな。
反復性過眠症の特徴……だったか。
でも、今眠ってるだけって知ってホッとした。
「無事で、本当に良かった……」
心の底から、安堵する。
こみ上げる涙を滲ませながら、俺は泪のそばへと歩いて行った。
「八雲くんが隣の病室にいるって知って、病室を飛び出したみたいでな」
「そうなんすね……」
「まだ目覚めてない八雲くんにすごく取り乱したみたいだ。看護師さんが宥めてくれたみたいだが、よっぽどきみのことが大切だったんだな」
泪……。
俺、アンタをどれだけ不安にさせたんだろうな。
きっと、たくさん泣いて、自分のせいだって責めてたんだろ。