おはよう、きみが好きです
「バカだな、アンタのせいなんかじゃないのに……」
「……俺は、これから大学に行かなくちゃいけなくてな」
「え、あ……そうなんすか」
泪の兄貴は腕時計を見て唐突にそう言った。
壁掛けの時計を見ると、時刻は午前11時ジャスト。
そっか、泪の兄貴大学生だったもんな。
「午後の講義を終えて戻ってくるつもりなんだけど、八雲くんに任せてもいいか?」
「あ、それはもちろん……つか、そばにいさせてください!」
泪の兄貴がついててやれない分、俺が泪のことを守ろう。
そう思った俺は、意気込んでそう答えた。
「くっくっく……」
「……え?」
すると、なぜか泪の兄貴に笑われた。
え、俺なんか変なこと言ったか!?
いや、思い当たる節がねーんだけど。
「いや、泪に似て真っ直ぐだな……と。きみが俺の弟になる日が、楽しみだ」
そう言って手を振りながら病室を出ていく泪の兄貴。
その背中を見つめながら、言われた言葉の意味を考える。