おはよう、きみが好きです
「ねぇ八雲」
名前を呼べば、八雲があたしを見つめてくる。
この真っ直ぐな瞳が……好き。
その髪も、唇も、指先も、心も全てを……あたしは求めてる。
「おはよう、きみが好きです」
精一杯の笑顔で、きみに届ける。
不安にさせたぶん、悲しませたぶんだけ……ううん、それ以上に。
きみを、幸せにできるように。
「っ……ハハッ、直球だな、泪」
「ずっと……伝えたかった言葉だもん」
「そうかよ……あーあ、嬉しすぎて俺、泣くわ」
わざと明るい声を出して、上向く八雲。
泣くって……もう泣いてるくせに。
止まらない八雲の涙を見つめて、あたしはそっとその頬へと触れた。
「泣いててもいい、怒ってたっていいよ……」
「泪……?」
八雲が、またあたしを見下ろす。
その瞬間に、ひとしずくの涙が手の甲へ落ちてきた。
その涙さえ、愛しいと思うよ。
「八雲が、あたしの隣にいてくれれば、ただそれだけで」
「っ……そっか、俺もアンタと同じ気持ちだよ」
ふたりで泣いて笑いながら、額を合わせる。
きみへの好きが、止まらない。
底なしの噴水みたいに溢れてる……。