おはよう、きみが好きです
『大ありだよ!!』
「むー、でも、無理なものはムリ!!」
『はぁ!?意味わかんねぇ!』
「とーにーかーく、下駄箱に入れといてね!」
あっ、それなら……。
あたしが八雲に借りるだけっていうのもあれだから、あたしからはこの『初恋マカロン』の少女漫画を貸してあげよう。
「明日、あたしのとっておき貸してあげるね!」
『は?とっておきって何?』
「お楽しみに〜、じゃあまた明日!」
『あ?おい、ちょっと……』
ブチッと、昨日とほとんど同じ流れで通話を切った。
だって、また詮索されそうだったし。
その時にうまくかわせる自信がない。
「今のところ5刊まで出てるから、まとめて下駄箱に突っ込んどこっと」
ベッドから降りて、本棚の『初恋マカロン』計5刊を手に取ると、紙袋に詰めた。
これくらいなら、下駄箱に入るよね。
「あ、そうだ……ただ漫画だけっていうのもつまらないから……」
あたしは漫画の中で一番注目してほしいところを、付箋で表紙にペタッと貼り付けた。
八雲、楽しんでくれるといいなぁ。
八雲が少女漫画を読んでるところを想像すると、ちょっと面白いけどね。
でも、明日はいつもより楽しくなる気がする。
そんな期待を胸に、あたしは今度こそ、ベッドで眠りについたのだった。