おはよう、きみが好きです
「でも、今日会いたかった人のことは?」
「えっ……?」
腕を少しずらして、あたしの顔を見下ろす透お兄ちゃんを見上げる。
今日、会いたかった人。
八雲なら……あたしの全てを知ってもそばにいてくれた?
「泪、信じることは怖いと思うけど、信じたい人がいるなら、信じてみる価値はあると思うぞ」
信じてみたい、それは透お兄ちゃんが言う通り怖い。
だって、それで突き放されたら……?
それが苦しくて、悲しいことを痛いほど知ってるからなおさら。
「泪がまた、誰かと会ってみたいって、思えた人なら……信じてみてもいいんじゃないか?」
「……でも、まだ……」
それを乗り越えるには、傷が癒えるには時間が必要だから。
あたしにはまだ、それを乗り越える力が無い。
「そうか、そうだな……まだ、早かったか。急かすようにして、ごめんな」
「ううん、ありがとう……」
透お兄ちゃんが頭を撫でてくれる。
今は、透お兄ちゃん……家族以外の誰かを心から信じるのは……難しい。
信じたいと思える人はいるけど、いつもそれ以上にはならないんだ。