おはよう、きみが好きです
「そういえば泪、携帯ずっと鳴ってたぞ」
「え……」
透お兄ちゃんに言われた通り携帯を見ると、チカチカと着信があったことを知らせるランプが点滅してる。
「泪の、会いたかった人かもな」
フッと笑って、透お兄ちゃんは携帯をあたしの手に握らせた。
まさか……でも、もしかしたら。
そんな考えが頭によぎっり、携帯をギュッと握りしめる。
「八雲……」
「泪、頑張れ」
ポンッとあたしの頭に手を乗せると、透お兄ちゃんはあたしの部屋を出ていった。
「ありがとう、透お兄ちゃん」
少しだけ、勇気をもらった気がする。
携帯鳴ってたって言ってたけど……。
画面を確認して見ると、そこには八雲からの着信8件。
嘘、八雲……。
かかってきた時間を確認すれば、学校の授業が始まるギリギリ前、昼休み、放課後も電話をかけてきてくれてる。
「……きっと、たくさん心配かけちゃった」
あたし、八雲に謝らなきゃ。
体を起こして、あたしは電話帳から《難波 八雲》の名前を選んで発信ボタンに指を乗せる。
「……大丈夫、きっと大丈夫っ」
八雲なら、きっと……出てくれる。
あたしがしたこと、許してくれなくてもいいから……。
嫌いにならないで、変わらずにあたしと話してほしい。
……なんて、矛盾してるかな?