おはよう、きみが好きです



「どうして、八雲はあたしが欲しい言葉が分かるの?」


『さぁ、何でだろーな……でも多分、泪のことを知りたいって思ってるからかもよ』



知りたいと思うから、相手のちょっとした変化に気づけるのかもしれない。


それほどまでに、八雲はあたしの一言一言を大切に受け止めてくれてる。


それが嬉しくて、自然と口元をほころばせていた。


「ありがとうっ、ありがとう……っ」


『だから、泣くより笑った声、聞かせろよ。いつもの強気で、ゲラゲラ笑ってる泪のが好き……だからさ』


好き……とか、不意打ちすぎ……っ。

ドキドキ心臓が騒ぎ出す。



「ゲ、ゲラゲラなんて笑ってないもん……」


だから、誤魔化すように可愛げのない事を言ってしまう。


『じゃあ、ワハハハでもなんでもいいから腹から笑って、俺にその声聞かせて』


「うっ、ぐすっ……わ……、わははー」



泣きながら、無理やり笑ってみる。

あれ、だんだん本当に笑えそうな気がしてきた。

さっきまでの苦しみが嘘みたいに晴れていく。


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