おはよう、きみが好きです


放課後、あたしは八雲と一緒にあたしの家までの道のりを歩いていた。

八雲が、送ってくれるって聞かなかったんだ。

送り迎えをしてくれていた透お兄ちゃんには、メールをして、彼氏と帰ると伝えた。

その時の透お兄ちゃんの返事ときたら……。


From:透お兄ちゃん
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ようやく、お役目ごめんか俺も。
末永くお幸せにな!
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……なんて、恥ずかしいからやめて欲しい。


「あたしの家、学校から徒歩15分なのに……八雲って意外と心配性なんだね?」


隣を歩く八雲を見上げてそう言うと、八雲は溜息をつきながら呆れたようにあたしを見下ろした。



「彼女の心配すんのは当たり前だろーが。それに、泪はボーッとしてっから、危なくてひとりで帰らせられねーよ」


そこまで……ボーッとしてるかな。

あ、でも透お兄ちゃんにも言われたことあるな。

お前は寝ながら歩いてるって。

それは、病気のせいなんだけど。



「……こうして手を繋いでてやらないとな」



八雲が自然に手を繋いできた。

あたしのよりひと回り大きい手が、あたしの手を包み込む。



「あったかい……」

「泪への想いが詰まってんだよ」

「何言ってんのばーか!」



いつもコントばかりのあたし達なのに、こんな時にふと八雲が男の人なんだって思い知らされるんだ。

その照れ隠し可愛くないセリフを吐く。



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