だってわたしは先生だから。
しわを伸ばしながら
「嫌じゃないです。」
とわたしが言うと
「よかった。
じゃあ、話しましょう。」
高崎さんはそう言って、
はい、と
わたしにお酒のグラスを差し出した。
話しやすそう…?
わたしはそれを受け取って
少し口に含んだ。
それから、
パズルの話とか、
飼ってるペットの話とか
家族の話とか、
そんな話をしばらくした。
わたしの話はたぶん
普通すぎて、
面白くはない。
のに、高崎さんは
しっかりと聞いてくれた。
「それで、
わたし、
猫は好きだけど犬はだめになっちゃってー。」
「そうなんですか。
俺、どっちも好きです。
あれは癒し。」
猫か犬かを抱きしめるように
胸の前で腕をぎゅーっとさせる高崎さんに
わたしは
きゅん
とした。