僕はあの街が嫌いだ









私の初恋は幼稚園児ぐらいの頃。







どこでやったんだか覚えていないけれど、

節分だから豆まきをしよう!

ということで豆まきをしたことがあって
その最中に私は、豆も投げられないぐらいに鬼にビビって動けなくなってしまった

そんなとき、私の正面にあの子が立っていた。

目の前に立って、彼の残りの豆全部と私の豆を使って襲い来る鬼を撃退してくれた



幼稚園児だった私にはあの子が大きく、とても頼もしく見えた

すごくすごくかっこよかった






きっとそれが私の初恋。







たしかその子は同じスイミングスクールに通っていて、親同士も仲が良くて、よく家族ぐるみで遊びにいっていた。




だけど、ある日彼は突然引っ越してしまった。
引っ越してしまってからは遊ぶことも会うこともなくなっていた。

連絡先もわからなかった。



彼がどこにいるのかさえ知らなかったし

知りようもなかった。







時折彼のことを思い出しては





懐かしく、そして寂しく思った。










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