ソウル・メイト
安藤先生の私や千鶴に対する好意は、あくまでも「人として」だ。
決して「男性として」ではないことは、十分承知しいる。
でもそれなら、なぜ先生は、千鶴の世話を引き受けてくれたのだろう。
なぜ先生は、「安藤小児科」を一時休診にしてまで、私のお見舞いに今日二度も来てくれたのだろう。
それだけじゃない。
私が急遽手術、入院することになるのを、まるで想定していたかのように、パジャマなどの着替えや保険証といった、入院に必要なものを、私が病院に着いてすぐ、持ってきてくれたし。
・・・優しいな、先生は。
でも、その優しさだってきっと、人としての優しさに過ぎないはずだ。
たぶん先生は、自分の診療所内で私の虫垂炎を見抜いたことで、医者としてある種の「責任」を感じているのかもしれない。
「他の病院に任せはしたが、八千代さんは俺の患者や」的な責任を―――。

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