ソウル・メイト
「安藤先生も。本当にありがとうございました」
「顔色も良うなったし、この分やったら明日には退院できるやろ」
「はい。今朝、ここの先生にも同じことを言われました」
「でも退院しても、1週間は仕事休まなあかんで」
「それも先生に言われました」と私は笑いながら言った。

でも笑うと、縫った腹部が少々痛い。
私は自然に、手をそこに持って行っていた。
それを安藤先生が見逃すはずがない。

先生は、「俺も一応医者やし」と言いながら、さりげなく私が置いている手に、自分の大きな手を重ね置いた。
その熱だけで、腹部の痛みがどこかへ行ってしまったのは・・・不思議だ。

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