ソウル・メイト
『八千代・・・元気か。千鶴も元気にしているか。俺は、元気にしている。一応。
養育費を払わなくてすまなかった。養育費を払うくらいなら、その分をローン返済に回せと和美に言われてな。確かに、そうしなければ俺たちが暮らしていけなかったんだ。
あれから色々あって、結局和美とは別れた。
俺は、ローンの支払いとか、一家の大黒柱として稼がなきゃいけないことにプレッシャーを感じて・・和美はいわば、そんな現実から逃避できる場所だった。いや、そうだと思い込んでいた。
だから和美と暮らし始めたとき、また“現実”が見えた。
あれは全て俺が見た幻だったと気がついたときには遅かった。
俺が逃げてしまったために、現実を見ないでおこうと避けたために、俺は大切なものを失ってしまった・・・。』

―――離婚してからは、和美という女がマンションのローン返済を手助けしてくれているものだとばかり思っていたけど、結局、あの人一人で支払いをしていたのか。
だったら養育費まで払う余裕なんてないのは、当然のことだ。
まぁたぶん、そうなるだろうと思って、最初からあてにはしてなかったけど。

掃除機をかけ終わった私は、食器洗いに取りかかった。

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