ソウル・メイト
『おまえがこのマンションを買おうと言うから買ったんだぞ。俺の稼ぎじゃ無理だと言ったのに。“ここがいい”と言ったのはおまえだろ』
『だから私も週末働いてるじゃない!』
『千鶴を置いてな』
『あなたがいるでしょ!父親のあなたが。・・・ねえ。あなたが平日働いて、外の世界を見てる間、私は千鶴の世話をしてるわ。家のことだってやってる。5日間。対してあなたはたったの2日だけじゃない。何も家中ピカピカに磨いて完璧にしろと言ってるんじゃないのよ。ただ、乾いた洗濯物くらいは取りこんでおいてほしい。たたんでくれていたら、もっと助かるけど。ごはんの仕度だって、野菜を切っておいてくれるとか・・千鶴のごはんだけでも用意してくれていたら、どれほど助かるか。あなただって親なんだから、それくらい・・』
『八千代』
『な、何よ』
『俺はもう、おまえが望む暮らしを与えてやることはできない』

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