ソウル・メイト

その頃、安藤先生は婚約していたそうだ。

「でも向こうから言われて破談になった。相手は内科部長のお嬢さんだったから、当然の結果と言えるよな。それに、今だから正直に告白するけど、俺だってそれだけの理由でお嬢さんとの結婚を承諾したんだ。ホント、俺ってイヤな男だよなぁ」
「あの・・・お嬢さんの方は、すんなりと破談を受け入れたんですか？」
「うん・・まぁ、そうやろな。破談後はもちろん、破談する１ヶ月くらい前から、彼女とは会ってないし、連絡も途切れてたから、彼女の本音は分からずじまいやけど、今は俺よりいい医者と結婚して、子どももいるらしいから、結果的にはこれで良かったんだよ」
「・・・あなたは、それで良かったと思ってるんですか」
「もちろん。彼女に対する未練はないし、彼女と結婚できなかったという後悔も全然ない」